Nostomania/あらい
 
酷くぶつかって。なにか御辞儀ばかり押し留めてみても、あなた、幇助にもあらわな錠をくたくたと溶かし込むだけ
 しらじらと軸が嗅覚に染みていて。わたしに欠けた部分をそっとなぞるから。ねえ、自然モノクロなオアシスで。大きな手で、葉を落とす無数の丸みをおもい、砕かれた意思のような、眠っていた誰かを呼び覚ますけれど。冷淡な旅愁が情けない姿で哭いた。汀にいき このさい 息を殺してやれ。
 どうかどうか灯された重みは21グラムとして。『珊瑚の有機体』といった形状はふくらんでいきました。弔いをもって若草が栄え、好天を裂く月のカケラが折れるとき。くすんだ金色の光を放っている。つめたくにぶい感触が手の平に残る。
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