くだんのために/あらい
ですよ
過去の未来へ切断された鏡面に萎縮し、剥がれた夜気がヌメるように無常にも微笑った。綾がいくつかにわかれ のたり、あっというまのこと、古びた風に呑まれて 光沢の波に紛れて
また、お静かに、白い海は。
「序曲でも失明でもない。まだ感じられない。時は聾唖であり、綻びかけたなにか。」だとして 追い詰められた闇の底に空想を交えた荒寥が犠牲にした、煌々と灯る、ケモノミチに。きりきざんだ潮の流れをも見つめながら、あわただしい人生の深淵に孕んでいた游び場は、水切りの塚とあしあと。わざとらしい感嘆の溜息が暮れのこり、念と透明に鉤爪の恒星はひとつかみ。とばりがまた映し出す、ことわり故 恍惚と舟に浮
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