赤鼻の国語教師/室町 礼
少々、悔しい思いをしていました。
わたしの中学一年のときの教室の担当教師は国語の先生で、四十代の、
赤鼻にメガネをかけた小太りのおじさんで、噂では修学旅行の引率に
出かけた東京の旅館で酒を飲みすぎて醜態を演じたこともあるという
ことでしたが普段はとても優しい先生でした。
施設では夜になると勉強などできず皆が大暴れするので睡眠不足が
続いていました。あるときホームルームが行われている教室で
わたしは不覚にも机にうつ伏して眠りこけてしまいました。
そして
目が覚めるとみながわたしの方を向いてにこにこしながら拍手して
いたのです。先生は黒板にホームルームで決まったことを
白墨で大書
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