開封/ただのみきや
 
橙色の着物に黒い帯をしたあねさま人形が二つ
コンクリートの壁の前で銃殺された
こどもたちの口の空砲
おとなたちの目の録画機能
遠い国の炸裂音が夜の耳をルミネーションで飾る
ジャスミンティーの湯気は幼子の手の仕草
石化された自己像の亀裂をなぞる
一日は青白く燃えて燃え尽きる
冬の一日は仄暗い一輪の花
わたしたちの魔法はことばが通じないこと
奇跡とはこの陶器が隙間ない孤独だということ
美しいものと向き合うとたましいが血を流すこと
だが果肉ばかりを腐らせてその核芯は絶対の無感覚
死の種子 生まれたときから化石
星が降るように地に降った
夜のかけらか黒曜石か
したためた手紙
[次のページ]
戻る   Point(6)