砂の人/秋葉竹
 
悔いはある


それでも
祈ることと云えば
明日からは
世界がいつまでも明るくありますように
そんな綺麗なことばかり


砂漠のまんなかへ
あの女の人が還っていったのは
砂漠の世界のほうが綺麗だと
知っていたから

だろうに

音と云えば
正しい風の音ばかり
ほかは砂を踏み締めあゆむ足音のみか
灼熱の太陽は
いつもなにかを燃やしつくそうとしている


そういう世界の果てを夢にだけみる

こんな灰色の風の吹く
暮らしのなかで
まるで泣いてるみたいな笑顔で

かなり照れながら








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