沈黙の聲/りつ
降りだした雨は悲しかった
いつもの道に咲く花々も
項垂れている
朝は洗濯物が
どこのベランダでも賑やかだったのに
急に閑散として
残った洗濯物は何も言わない
こんなことを悲しいと思うのは
馬鹿なのかもしれない
ことばが私を殺す
夕闇が訪れようとする暗い部屋で
子供みたいに膝をかかえて
ひとりぼっちを暖めるすべを知らず
気は進まないのに
人差し指を踊らせ始める
(あなたの空は晴れていますか?)
朝(あした)など来なければと思う
だけど夜は明けてほしい
矛盾した感情が
同じ速さで疾走しながら衝突する
気狂いの涙など
いったい誰が信用するのか
ドアの外は暖かいのだとしても
一歩は遠く
私は窒息しそう
誰かの咳をする聲が響く
そんなことに安心し
ひとりの夜を
越えていく
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