バス停で/うめバア
その日わたしたちは
明るいうちに別れた
陽の高いうちのさようならは
夜よりも錆びてはおらず
明け方よりも健全で
互いの悪口なんて言わない
だからわたしは
これが さいごだなんて
考えもせずに
バスに乗り込んだ
少なくとも そういうフリをした
いつかまた
会うときには
あなたは背を丸めて
歩いているのだと思う
それまで どうか
わたしが
無事に年をとれるよう
こんな苦しさなんて
忘れていたよ
懐かしいねと
話せるよう
平気なフリだけしていたんです
陽が傾いて
あの日のバスは
廃線になったそう
忘れものがなにか
忘れてしまったもので
わたしは まだ
時刻表を
見ているのですけれど
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