『愛』/秋葉竹
とある花がわたしに
微笑みかけつづけてくれている
わたしはすこし照れて
その花のまなざしを直視できない
人生を全うさえできない予感に夜に震える
ひとりっきりも気楽だなんてくだらない見栄
隣のバイパスを走る車の音もしなくって
今夜はなぜか静かです
なぜだかこのままこの世界が終わるような
静かな絶望がボクを眠らせないから
愛を掬い上げて
愛を捧げ抜いて
愛を胸に沈めて
愛に狂わされた
波瀾万丈な過去の夜の香りが
今夜のボクのやわな首を絞めあげるから
ボクは怯えて身を固めてただ震えている
今夜はゆっくり死ねそうです
そんなボクのことをきっと
慰めるように愛してくれている花が咲き
その花がわたしに
微笑みかけつづけてくれている
わたしはすこし照れて
その花のまなざしを直視できないまま俯く
ボクの瞳の色はもうすっかり
真紅の『愛』の色に染まっているというのに
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