『愛』/秋葉竹
 


とある花がわたしに
微笑みかけつづけてくれている

わたしはすこし照れて
その花のまなざしを直視できない

人生を全うさえできない予感に夜に震える
ひとりっきりも気楽だなんてくだらない見栄

隣のバイパスを走る車の音もしなくって
今夜はなぜか静かです

なぜだかこのままこの世界が終わるような
静かな絶望がボクを眠らせないから

愛を掬い上げて
愛を捧げ抜いて
愛を胸に沈めて
愛に狂わされた

波瀾万丈な過去の夜の香りが
今夜のボクのやわな首を絞めあげるから

ボクは怯えて身を固めてただ震えている
今夜はゆっくり死ねそうです

そんなボクのことをきっと
慰めるように愛してくれている花が咲き

その花がわたしに
微笑みかけつづけてくれている

わたしはすこし照れて
その花のまなざしを直視できないまま俯く

ボクの瞳の色はもうすっかり
真紅の『愛』の色に染まっているというのに







戻る   Point(3)