3(ミ)/百(ももと読みます)
 
お伝えしたのだ。お話しの途中で、誰かきた、いーちゃんごめんよ、といって、おかあさんからお電話を切った。

 ガジェットの画面が連絡先へと戻る。ぼくは静けさの高鳴りのもと、半年ぶりに対話を試みた両親の電話番号を再び着信拒否へと設定した。

 おぼつかないあしどりで無力さのこだまするひとりぼっちのお部屋からとぼとぼとでてゆくのは、喪失という名前をうながす負け犬などではない。



 深く息を吐くと、生きた心地としての自然の音が窓から聴こえてくる。田舎町の街路樹の茂みへとあわてて隠れたすずめのことなど、数日前の秋がふいにあたまをよぎって、ぼくはうすくほほ笑む。

 わからないままを
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