東京組曲/室町 礼
東京はぼくの
第二のふるさと
ビルやネオンがわが山で
流れる車がわが川で
電信柱の林のなかの
小さな小さなアパートの
小さな小さな台所
ナベを振ってもお尻が
ごっつん
皿を洗えばしぶきが
スプラッシュ!
せまいんだよ うヘッ
キツイんだよ うおッ
つらいんだよ うわッ
マナ板のように叩かれて
へこんで
つぶれて
汚されて
同じことの繰り返し
それでも洗えばもとに
戻るんだ
それでも洗えばもとに
戻るんだ
●ぼく(室町 礼)
新宿歌舞伎町の入口アーケード下で
若い女性に声をかける。
「あの、もしよければお茶でも」
●若い女性
「いいわよ」
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)