粉雪/
山人
すこしだけ何かを言いたいのなら。
さようなら
繰り広げられる白い雪の
すべてをさらけ出した清いあきらめが
くるおしく皮膚にしみこんでゆく
季節の記憶が旅立って
たどり着くことができない宇宙に
その結晶が粉雪となって降りしきる
いっときも止まることなく
砕かれた記憶が白く浄化されて
空から音もなく
あたらしい私たちの
上に降り積もって。
戻る
編
削
Point
(11)