渡り損ね  蒼風薫/梅昆布茶2
 
つい


お手伝いしましょうか
と声をかけたのが始まりでした


お年はお幾つですか

と尋ねると決まって
17歳と
答えるのです

おつきあいが深まるに連れて知ったことですが

そのおばあさんの、愛して止まなかった猫が死んだのが17歳の時・・・


おばあさんはその

妹ーと

慈しんでいた『最後の家族』と自分を混同してしまったのでしょうか


でも

ボケてはいませんでした


お友達の少ないわたしはしばしばその4階を訪れて

おばあさんの用意してくれた美味しい紅茶をいただきました


広島からわざわざ取り寄せているそうです
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