野葡萄の森には もっぷ/梅昆布茶2
そういえば野葡萄の森には
女学生たちの笑い声が響いていた
ルージュを未だ知らない稚さが
あまりにも無防備に
秋の終わりを彩っていた過日
電気代・ガス代に事欠き
灯油のストーブなど置くスペースはない
炬燵すら無理な部屋
色々望みすぎる家電だからだ
それでも窓には約束の結露が見え
遠い友人がすぐ間近に来ている
そんな心地に迷わせてくれる不思議
わたしはアルコールが全く駄目だからひちハダに酔わせてくれると言っても
それほどには笑い飛ばされはしないだろう
決めつけてみればここはどこかの
丘の上の赤い屋根の白壁の
煉瓦の
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