君の残響/
泡沫の僕
自分でも信じられないけど、
もう家には帰りたくないんだよ。
君には信じられないかも知れないけど。
この狭くて汚い部屋が、
君が帰ってくる場所だと信じてるんだ。
惨めたらしくね。
今では枯れてしまった観葉植物に、
君は屈んで話しかけながら水遣りしている。
台所に立ってトマトを切ったり、
鍋をかき混ぜている。
そこにはいつもあの音楽が鳴っていた。
僕はいつも祈っていた。
そのまま、君が可愛らしくハミングしてくれるのを。
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