かおるの音 蒼風薫/梅昆布茶2
ねるからシチューにしたい
父さんのお骨どこかに移されて頼りないまままたすみれ咲く
干し草のベッドを想う古里を持たない私の終惑の暗喩
おかっぱを切らずに荷年過ぎた日に愛しくなる尻尾のように
A型で長女ですから切り出してまつげの向きと数で逃げ切る
砂場から砂場を求めて旅をした二歳の子供今立ち止まる
雨の日の考え事はうまくない春も深まりカルピス作る
春の日のヂュラレックスのグラスにはなんでも似合う懐かしき涼
雨がふるかつてを捨てて生きてても今朝も少女が手を振っている
この冬は蜜柑知らずに過ぎ去って如月終わる春の雨音
静かなる今朝の雨音わが胸に届くすみれの便りのように
季の絵の具解く明日に約束の白い花描く春と名付ける
こみ上げる激情の日の東京のビルのこの部屋離陸をしたし
春始発父さんと猫と私のぶん切符求めて銀河も超えて
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