ブロイラー/花形新次
 
もしピストルがあれば
薄汚いおまえの眉間に
一発撃ち込んだあと
左のこめかみに突き当てて
銃爪を引いてやる

銃声が地下鉄のホームに
響き渡ると
会社帰りの女が
狂ったように金切り声を上げる
俺はそれをほんの一瞬聞くと
その場に前のめりに倒れ込む
後のことは知ったこっちゃない

美しい死に方がない
なんて信じない
俺達の先人は
信じて死んでいったのだ
俺達の為に

このままでは
死ぬことさえ大量生産の
ブロイラーだ

俺はそんなことは
断固拒否する
生きることを拒否するように


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