全行引用による自伝詩。 04/田中宏輔2
 
』3、井上一夫訳)

 わたしは五番街に行った。わたしの歩きたい街だ。若さと希望にあふれて、それはわたしの世界、わたしの町、わたしのものというような気がした。歓喜の味を味わい、心は喜びに充ちて、順風に帆を上げたような気持だった。風の吹きぬける高いビルの間の道は色とりどりの美しい飾り窓がつらなり、女の人の美しいすました顔があり、すべての上に太陽が輝き、その太陽と風が……。
(ロバート・ネイサン『ジェニーの肖像』5、井上一夫訳)

小鳥が雨樋のなかで夜明けを奪いあっていた。
(ブライアン・オールディス『子供の消えた惑星』2、深町真理子訳)

(…)大儀そうに、彼女は各種の壜やチューブか
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