全行引用による自伝詩。 04/田中宏輔2
認識である。シュタイナーは事実上こう言っていたにひとしい。鳥は空の生き物であり、魚は水の生き物、蚯蚓(みみず)は地の生き物だが、人間は本質的に心の生き物であり、人間の真の故郷は自分の内部にある世界なのだ。なるほど、人間でも外面世界に生きなくてはならぬというのは事実だが、第1章で見たごとく、この外面世界を把握するには私たちは自分自身の内部に退く必要があるのだ。
この内面世界の奥深くまで「退く」ことは、私たちのほとんどにとって難しいことであり、外面世界とそれがつきつけるさまざまな問題がうしろから私たちを引っぱって内面世界に入ろうとするのを妨げる。シュタイナーはどうやら、自分の内面世界に降りて行く非
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