全行引用による自伝詩。 04/田中宏輔2
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『煙は永遠にたちのぼって』友枝康子訳)
「でもね、どこか気味がわるいの」彼女は満身の力をこめて箱を河に投げる。箱は二十フィート飛ぶ。「すごい! でもね、あなたの一部分があなたの愛したものに執着して永久についてまわる、そんなことを想像してみて!」彼女は柳の木によりかかり、流れていく箱を眺める。
(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『煙は永遠にたちのぼって』友枝康子訳)
少年の生活というのは同じようなもので、彼の場合も例外ではない。違うと言えば、ブロンドの女がしきりに話しかけていることだが、そのせいで少年は今ひとりぼっちの人間になっている(雲の話はもう
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