全行引用による自伝詩。 04/田中宏輔2
 
ユアリテ}の上に固定されています。今日性は、あまりに拡散的で広いひろがりをもつものですから、それは私たちの地平の過去を拒否し、そして時間をもっぱら現在の瞬間に還元するものです。このような体系のなかに封じ込められた小説は、もはや作品(持続を、過去を未来に継ぐことを運命づけられたもの)ではなく、他の事件とかわらぬ現在(アクチユアリテ)の事件であり、はかない行為です。
(ミラン・クンデラ『小説の精神』第一部・9、金井 裕・浅野敏夫訳)

(…)すると不満を抱く者たち、いくぶん盲目的で、どこか狂っているような者たちが神秘と血を通して、あの失われた調和をしゃにむに取り戻そうとして、自分たちを取りまく現
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