静かな風景/
初代ドリンク嬢
「おとうさん」
小さなかわいい声がした
「これはなあに」
「うん、それはこの子がゆってることだよ」
お父さんは指で「この子」らしい箇所を指した
『この子』のところにはうさぎちゃんが
お誕生祝いをしてもらっていた
病院の庭には名前の知らない
小さな白いすずらんのような形をした花のなる木がある
今度
調べて娘に教える約束をしながら
いつも忘れてしまう
病院のソファにふたり
静かに座って
私は
なぜだか
涙を流していた。
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