その破片が私の目に刺さればいいのに/初代ドリンク嬢
また
飲み込んでしまった
そして、
私はガラスのコップを握り締めたまま叩きつける
一つ
二つ
三つ
四つ
五つ
家族の数だけ
血だらけの手で
私はあたりかまわず
投げつける
向きをそろえてたたんだ真っ白いタオルを
食卓に並んだご飯茶碗を味噌汁を
一から作った春巻きを新聞を花瓶を
箸を折り、鍋をぶちまけ
追い詰めていく
隅っこで「きをつけ」している
あなたに向かって
胸ぐらをつかんで
「私のこと好き?」
「私のこととても好き?」
恐怖の顔に
返答を求める
血まみれの手で顔を撫で回しながら
涙をぬぐった
私の顔も
赤く
外では
学生の騒ぐ声が
ああ
私はまた飲み込んでしまったのだ
また
飲み込んでしまったのだ
抱きしめてあげる
血のあとが残る部屋の片隅で
静かに眠ろう
抱っこしてあげるから
だから
私をやさしく撫でて
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