まな板給夫のいる風景/プテラノドン
 
ギチ揺れて、ハンモックを熱心に揺らしていた
名も知らぬ少年の歯もギチギチと鳴っている。

「レスポンス、レスポンス」
ハイハイ、こちら「まな板給夫のいる」を乗せた船
スゥイヘイリィーウ゛ェボクノフゥネ!だよオーイエッ?
カリブの豪華客船だと?モナコはどっちだって?教えてやるよ
「モナコはあっちさ」と、指輪をじゃらじゃらつけたその指で遠くを指差す
「まな板給夫のいる」は、高架線下の天使を口説き落として
彼女の何もかもを手にした様子。(身なりは海賊そのものだ)
その彼女ときたら、イタリア製ジェラート舐めの木片スプーンで
水面を漕ぐことはおろか叩く始末だ。しかも、
香水くさい言葉で「お変わりはいかが?」だって!
海上を漂う僕等三人、しばらく前からそうしている 豪華客船はまだこない。
「まな板給夫のいる」は鼻歌を唄いながら、釣り糸を垂らしている。
思いきり頬をつねってみるとあいつ、「まな板給夫のいる」は
一度泣きそうになってから包丁を振り回すので―、そうでないにしろ
舟はもうすぐ沈むので さっさと僕は海へ飛び込む。


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