停滞/
花形新次
すぐそばに居ても
昔すれ違っただけの
他の誰かを思っている
罪に苛まれて
不意に口づけをすることで
更に罪を重ねる
おまえが愛だと信じて
疑わないものを
俺は背負いきれなくなっている
長く一緒に居すぎたせいか
ただ単に俺が長く生きすぎたせいか
重苦しい気持ちを晴らすための冗談も
乾いた空気の中で停滞してしまう
もう何もするまいと誓っても
また明日がやって来る
その繰り返しだ
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