夜でなく、夢でもない。/中田満帆
しをきらった、みなが去ってしまった。といってもかれらはわたしの作品など、わたしの虚無など欠片も識らないが。
個人的な憎悪にはもう用はない。ただこの展望を失った道の半ばで、わたしはこんな男でも救われたいと願うだけだ。13歳からずっと抱えていた空想をきのう断捨離した。だれかがわたしを観ているという空想だ。あるいは思考を読んでいるというものを。いつも特定のだれかをおもい浮かべたものだ。しかし、それはわたしという無色の、乖離した自我に、他者という色を塗ることだった。ひとりでいるとき、ずっとあたまのなかには他人がいるとおもいこんでいた。学校のだれかとか、職場で一緒だったやつらとか、わたしはかれらかの女ら
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