夜でなく、夢でもない。/中田満帆
 
に、気づいてもらうために。わたしはただ寂しかった、心から充たされたかった、愛に触れたかった、できることはなにもなかった。家庭内の孤立と、社会での孤立、片思いと失恋、社会人としての逸脱、みな望まぬものが襲来した。親の無責任な多産がわたしを経済的に追いつめ、肉体をも締めあげた。そして徒手空拳のまま、社会へと送られ、わたしはわたしらしくないところをたださ迷った。多くのひとがわたしに怒りと軽蔑、嘲笑を捧げた。心は蝕まれ、怒りと憎悪で充たされた。本来、学びたかったことも遠ざかり、なんども煮え湯を飲まされた。そしてその憎悪が28歳で爆発した。心は手遅れだった。いまとなってはなにもかもがむなしい。みながわたしを
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