夜でなく、夢でもない。/中田満帆
た撮影隊が特殊効果を醸す。おれたちは決してひとりではないんだ。『崩壊概論』も『敗者の祈祷書』もいまや必要にない。まばゆいばかりの光りがスタジオを包み、死のもっとも明るい場所で疾走する。いまや、おれに見えるのはかつての人生ではない。現実の死だ。そして自我が消え、超自我へと変わるだろう。みながみな量子としてぶつかりあい、あらゆる悲しみを突き破って、エネルギーの点に変わる。おれの夢、おれの所有物、おれの作品、おれの日記、おれの室、おれの死体、おれに科せられたあらゆる裁き、そんなもの、もはや、どうだっていい・・・・・・。
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