彼女のゼリービーンズ/
ただのみきや
しれない
風にめくれそうでめくれない
水面へと
浮きあがる花押
なよやかにうずをまくかなもじのむれ
一生をただ一枚の絵とするなら
曼荼羅より花
砂から来て砂
水から火へ火から水へ
花房のひとしずく
蝶を呼び蜂を集める
秘密こそ甘露
つめたい燈心よ
鳴け 鈴なりの うたことば
累々と 涙々と
夏の小舟の上にもう姿はない
わたしは沼の底
いとしい蛇女に巻かれやわらかい勾玉を食む
(2025年9月6日)
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