手の中のクスサンは/ただのみきや
 
たのないことだ
「生理的に受け入れられない」
ああそれはよくわかる
片方の情報をでたらめとして
自分が信じている情報を絶対とする
溢れかえった右寄りと左寄りの
無意味なソースのぶっかけ合い
文章について語り
詩について語ったつもりのネット無双
手垢のついたことば という
手垢のついたことばでとりあえず
叩いて自分の位置を確認する
色眼鏡が自部の手垢だらけなのも気が付かず
なんでも自分の知っているものと
一緒なのだと思い込める
SNSのない
百年くらい前なら
村一番のお馬鹿さんで済んだような人々
わたしもまたそんな
生理的に受け入れられない
いきものが沢山あるわけだから
さあさあ踏みつぶせ踏みつぶせ
無害無力な虫けらを
無様に残された枯れ葉色のことばの中から
胡乱な目が焦点もなく
お前を見上げて笑っているぞ



                  (2025年8月31日)












戻る   Point(6)