夜明けを探して/りつ
悲しみは
どこへ行くのだろう
月明かりに照らされた部屋に
アン・ルイスのバラードが静かに流れている
ずっと夜と共に呼吸してきた
あなたの肢体を抱き締めながら
愛の悲しさに目蓋を伏せる
この身ごと
くれてやっても良かったのに
そんな声なき涙すら
あなたは知らない
いつも夜明けを探して彷徨っていた気がする
黄昏の中
夢の中
昼の陽光に照らされながら
涙も溢さず
くちびる噛み締め
いのちすら拒み
咲きもせず
夜が明けたら旅立とう
私だけの
夜明けを探して
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