月/大山猫
 

月が若くして往生する
鮮血に染まった糸 龍を絡め取り
瓦礫の帯が残され 紅白の
煙突から水が溢れ 鉄橋を
渡る収穫人 何もない
剥き出しの海を 楢が
這ってゆくモノクローム
飛沫は月の断片で
岬は星に怯えて吼える

低い声達が遊行し 石
只一つの光 照葉樹林の奥に
お前のような 小さな
小さな神が佇んでいる
月を
ゆっくりと傾け滴らせる。

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