Lucky Dragon No. 5/
TAT
グレタの船は火の道を往く
十戒のように海を割り
水面すらない中空を
それでもグレタの船が往く
ジャンヌ・ダルクのように
ドラクロワのように
無論
この世界の誰一人として
ビルケナウを肯ってはならないし
彼等の受けた傷や痛みを
我々が語る資格は
無い
(ちょうどニッポン以外の国に
ピカドンを語る資格が無いのと同じように)
だが
それでも尚
なんぴとたりとも
海を焼いてはならないし
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