午前三時墨透海/降墨睨白島(furusumi geihakutou)
墨透海の南にはもう海はない
あのつまらない大きな大陸があるだけ
だからほとんどの人が折り返す
それでも大陸に行こうかどうか迷う
やめようと決断するのが
大抵午前三時だそうだ…
昼間の墨透海は賑やかで
騒がしいんだ
一攫千金狙いの
若女魚漁の船でごった返す
網に優秀な詩
(若女魚がどう思うかということ)
思い切って書いた詩を網にくるんで
若女魚が気に入れば網を引く
なかなかそうはいかないけどね
行き交う船が少なくなる頃
ようやく俺が乗るような
大陸を目指そうとする船が行き交う
つまらないよ
と、若女魚がいつの間にかそばにいて
そうか、それでみな引き返すのか
俺は時計を見た
午前三時前だった
遠くから
進みなさい、進めば分かるわ
という意味の歌が聞こえてきた
いかないで、と若女魚
俺は時計の針が三時を指したとき
船のスロットルを全開に
若女魚はドブンと海に落ちた
うふフフフ
アハハハはと歌い終えたローレライ
俺は覚悟を決めて
あの大陸を
月曜日という名の大陸を目指す
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