詩の動物園/ハァモニィベル
〈太郎〉
「ぼくは時計は要らないよ」象がわらって返事した
大きな時計をオツベルは象の首にぶらさげた
象も云う「なかなかいいね」
眼を細くしてよろこんで、象は川から水を汲んで来た
象が笑わなくなった時 象はオツベルに噴火した 〈賢治〉
なめとこ山の熊のことならおもしろい。
熊捕り名人・小十郎が片っぱしから捕ったのだ。
「熊。おれはてまえを憎くて殺したのでねえんだぞ」
が、なめとこ山の熊はこの名人が好きなのだ。だから言った
「小十郎。嗚呼おまえを殺すつもりはなかった」と。〈賢治〉
秧鶏(クヒナ)のゆく道の上に 匂ひのいい朝風は要らない
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)