詩の動物園/ハァモニィベル
汚れつちまつた悲しみに なすところもなく日は暮れる……〈中也〉
躁(はしや)ぐ少女と嘲笑ふヤンキイは
いやだ いやだ!
ぽけっとに手を突込んで 路次を抜け
明るい地平線を逐(お)ふ…… 音をたてると
狸婆々(たぬきばば)がうたふ。音をたてると心が揺れる〈中也〉
東京はタイクツな町だ
レンガもアスファルトも 笑わずに 四角い顔で
男も女も 笑わずに とがった神経(かお)で
高いカカトで 自分の外(ほか)は考えず
よこたわり 歩いて行く 〈浩三〉
原始林の幾日幾夜の旅の間、探険者(わたくし)は、
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