詩の動物園/ハァモニィベル
 
人類の歴史を語る 夢を夢みる猫のかげだ
やさしい言葉であなたの死骸に話しかける
月のはづかしい面影だ 〈朔太郎〉



見もしらぬ犬が私のあとをついてくる
どこへ行くのか知らないわたしの ゆく方角に、
おほきな、いきもののやうな月が、ぼんやりと浮んでゐる。
月に吠える犬は、自分の影に怪しみ恐れて吠える
細長い尻尾の先が地べたの上を引きずつたまま〈朔太郎〉



わたしは雪のなかに跪(ひざまづ)いて
その銀の手をなめてゐる
太陽は神々の蜜である
凝視(みつむ)る指先に?愛の重み
さみしさに さみしさに 銀の魚は釣針をのむ 〈暮鳥〉



大き
[次のページ]
戻る   Point(4)