詩の動物園/ハァモニィベル
大きな白い鳥が 鋭くかなしく啼きながら
しめつた朝の 光のなかを飛んでゐる
それはわたしの妹だ 死んだわたしの妹だ
兄が来たのであんなにかなしく啼いてゐる
あんなにかなしく啼きながら 朝の光を飛んでゐる〈賢治〉
何となく汽車に乗りたく思ひし日
汽車を下りしに
ゆくところなし
草に臥(ね)て 思ふ事なし わが額(ぬか)に
糞して鳥は空に遊べり 〈啄木〉
汚れつちまつた悲しみに 今日も風さへ吹きすぎる
今日も小雪の降りかかる
汚れつちまつた悲しみは たとへば狐の革裘(かはごろも)
汚れつちまつた悲しみは 倦怠のうちに死を夢む
汚
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