ぼくたちの神様/yo-yo
 
もお帰りなさった と言って
神様は淋しそうに落葉を掃いている
神様はどこへお帰りなのですか
それはね山の奥だよ ほれ
山はもう沢山の神様で真っ白になっていた

でも神様は鳥のように空を飛べるから
どんなことでもお見通しなのだよ
と神様は言った
からすも天空にいるときは神様かもしれない
とんびも孤独でひまな神様かもしれない
そんなら神様も
日暮れになったらおやすみになるんでしょうか

ぼくたちは好奇心が強い
夜更けの大銀杏は黒い化けもの
まるで神様の夜番をしているようだ
千年のどでかい闇をかいくぐって
ぼくたちが目指すのはちっちゃな明かり
かすかに湯気を吐きだしている小窓
斥候がくすりと笑って耳打ちした

かしこみかしこみもうす
ただいま神様は風呂に入って
美空ひばりを熱唱中




かしこみかしこみもうす=(祝詞)恐み恐み白す






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