*表面張力*の夕暮れ/
みずほ太陽
世界幻想システムの中で
金属と有機物が溶け込む砂浜のまどろみ中で
割烹着のお母さんが呼ぶ声が聞こえる
赤毛の君が涙声で歌っていた
遠くへこい、遠くへ
―僕を呼び止めるな
いつまでも宝石を預かっているよ
お金ではない、貴方の秘密
―僕は戻らなくてはならない
君の邦はこちらにあるんだよ
―僕の邦は、すでに繁栄しているのだ
落ちる時は呼んでくれよ
―うつむく
沈まない夕陽を背に
この瞬間がなぜ僕を泣かせるのか
必死に考えた記憶がある
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