element/こしごえ
は、午後のやわらかな陽射しに反射しながら、鮮やかな青空へと消えていった。
「私、自分の名前を好きになれそうな気がしてきました」
「よかったね。人には、必ず心の中に宝物があるものだよ。それに気付くか気付かないか。それが問題だ」
「はい」
タバコを吸い終わった素子は、小さくなっていく焚き火から川の流れ青空へと目を移し、満面の笑みを浮かべていた。
「私、いきます。私の世界を持って」
そう言うと立ち上がり、老人へ深々と頭をさげた。
7月の午後の青空に、一羽の大きな鳥が、風に乗って羽ばたいていた。
<終わり>
element=<要素・成分・元素・構成分子・化学元素・活動領域・微量・本領・持ち前>
※この小説は、フィクションです。焚き火は、安全を確認して決められた場所でしましょう。
また、焚き火禁止の場所では、焚き火をしないようにしましょう。
個人サイト「As H System」掲載。
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