花車/リリー
 

 本当を知るのが恐い
 わたしたちを
 グリーンスパイクは身を震わせて
 時に火の息を吐き、
 ふり落とそうとしている

 ただ振り落とされないために
 回転するスパイダー咲きの
 ガーベラにのって
 呻きながら走るだけ
 脚は棒になり浮腫み
 目は血走って、頭すら 
 もはや働かない

 つかのま雄は雌を把え
 雌は雄に媚び
 汗臭くなまぐさいドロドロした抱擁
 雄は必死に考えようとする
 これは愛なのだ
 そして雌は信じこもうとする
 これは愛なのだ
 恐怖から
 つかのま脱れるために愛なんて
 あるものか

 ほら、もう息が切れて
 脚は震えながらくず折れる
 早く降りて
 静かに息をととのえてみれば
 何と哀れなトラックレースだったと
 気付くものを

 
 
 
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