タニカワシュンタロウというなまえで生きていた人物へ捧げるエチュード/中田満帆
 
現実味について
 しばし考える、
 緑色の牛
 ピンク色のコーヒー豆
 蛇口からあふれたジンジャーエールや
 軟質の生体プラスチックたち
 いま署名を免れた者たちのなかで
 たったひとこと、
 「FIRE」とラベリングする青年よ、死ぬな
 ぼくが手に入れた箱にきみの手が臭う
 たったいま射撃されたような痛みを忘れないでくれ、
 17系統のバスで逝ってしまった老人のように
 ぼくは手をふった、 
 ぼくは連呼する
 タニカワ、
 タニカワ、タニカワ、
 タニカワシュンタロウ、
 またの名を「青は遠い色」と囁いた青1、
 法定色素、別名ブリリアントブルーFCFだとね

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