七月のかなしみ/
山人
物語りはエンドレスのように
季節は音もなく日々を刻んでいた
地表には取り憑かれたように草たちは伸び
虫はそれに寄り添うように紡いでいる
夏は蝉の音と虫の音が混錬し
熱波が地表を包んでいた
空気は重く葉にしなだれて
入道雲は静かに笑った
汗の製造工場となった人体は
めくるめく日々を消化した
二度と戻ることはない
あの、嬉々とした時代
眠るように息を吐きながら
わたしは一人
七月のかなしみの中で
マリオネットのように動いていた
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