ねぐるしや/
ただのみきや
夏の火照った肌
雨も涙のよう
汗ばむ皮膚を鼓膜に変える
そのねぐるしい抱擁の中
どこか つめたい絃のよう
はりめぐらされた
怪異という快楽へ
二度 三度と
夢は寝返りをうつ
盥の中
冷やされているのは
瓜か それとも
緋色の鯉か
包丁を研ぐのは
白い姉様の手か
節くれだった鬼女の手か
もらすうわごと
からめとられた蛾のように
もだえふるえ
だかれ食まれ
はだけた夏の胸乳の香
丑三つのまどろみ
浅く 濃く
(2025年7月19日)
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