梅雨明け、一刻/ひだかたけし
 
すっかり夏入りのこの夕刻に巻雲、真白く
色んなカタチ描き巻き拡がり伸びる
真青に沈む空の大キャンバス、
真昼の熱風も今では程よく冷め温かみ帯び
吹き流れ来てはこの身を包み込み

あゝこの世界のなんて美しいこと

そう想えるこの一時がとても愛おしく
何れ此処から去りいかなければらないと
そう想えばなほいっそう愛おしく

朝方から喧嘩沙汰に巻き込まれたこの一日、

常に静か沈黙し横たわり在るあなたの顔浮かび来て
声枯らし相手を見据え言葉投げ付けていた自分の馬鹿らしさ
思考運動の渦巻き脳髄に次々と足跡穿ち
開示されるこの世界宇宙の移り行きに只々身を委ね、今

朝に夕に浅く遠く深く近く 
自らをこの感覚次元の一通過地点と見なせと

また静か浮かび来るあなたの清ら整然と閉じられた目蓋

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