「知らない」/秋葉竹
館へ向かうすこし好きな感じの家の
花壇に咲く可憐で真っ白な花
花の名前には疎くって
私はその花の名前を知らなくって
あゝ、こんなとき
彼女がいてくれたらなぁ
って想ったのをよく憶えている
彼女はなんでも知ってるけど
私はホントに、なんにも知らないから
あまりになんにも知らないから
まぁ、少しは
知恵と知識を得たくて
図書館へ向かっていたわけだが
あんな真夏の真っ昼間に日傘差しながら
図書館へ向かわなくても
エアコンの効いた部屋へ戻り
スマホで撮った画像をみせて
彼女に尋ねればいいんだというのは
知っていたよ
でも
それでもさ
そのときはただひたすらに
とても静かで清潔で白い感じのする
徒歩5分の図書館へ
行きたかったんだ
なぜかは
「知らない」
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