露綿毛/本田憲嵩
 
梅雨時の雨あがりに、まだ濡れている、
いくつもの、
綿毛となったタンポポが、
まるで細密な白いガラス細工のように硬質化している、
それぞれに、
きわめてミクロな水晶の玉の粒を、
無数に煌めかせながら、


――ふいに、
  おなじ白さの、
  老婆の頭髪が、ぼくの背後を通りすぎる、


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