水の中の目醒め/
岡部淳太郎
き 仰むきに転倒し
それは彼が見る最初の光景
最初の恍惚の瞬間
だがそれがすべてではない
それはほんの始まりに過ぎない
彼は獣
暴虐の海は その波濤とともに
古の獣を解き放った
水の底から 海の底から 始まる時の擾乱
人間への 積年の憎悪をこめて 彼は水の中をゆく
長い眠り
そして夢
夢の名前 それは復讐
「夜、幽霊がすべっていった……」拾遺
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