雨の情景/
栗栖真理亜
突如降り出した雨
壽から溢れる雫
濡れて鮮やかな緑陽樹の緑
ランドセルを背負った小学生がピンクの傘を揺らしながら走り去る
大人たちは皆浮かぬ顔して傘を差しながら通り過ぎてゆく
これもそれも雨のせい
体が濡れることを厭わぬ者はおらず昼と夕の間の時間を行き来する
バスや自家用車が通るたびズゥーと水を跳ねる音が絶えず鼓膜を揺らし
忙しない風景はまさに
途切れ途切れに場面が切れるフィルムのようにしっとりと濡れていた
戻る
編
削
Point
(1)